樅木テレジア
Teresia Mominoki
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2013.03.03

DNAを遺す代わりに

書くことは喜びであり、同時にこの上ない辛苦です。

一文を書く毎に、自身の感性の籠から、大事な宝物を乱暴に掻き出されていくかのよう。

 

『この宝物は、私が幼き日から、ひたすらに美しくグラデーションを描くようにと、幾重にも織り進めてきたものだ』

 

籠の奥底、その宝物の残量を直視することが恐ろしく、目を背けた私は文机に齧りつく。

それでも敢えて筆を執るのは、ひとえに、十年後のある朝に、私の成した歴史には確かに意味があったのだと、今の日々を振り返ることができるようにと、願うからです。

もしかしたらそれは、自分が生きた証をこの世に遺したいという、生命の切実な叫びの姿であるのかも知れません。